ランドセルの語源・歴史とは?オランダがすべての始まり!?

昔から変わらず子どもたちが背負っているランドセル。

日本にいれば当たり前のように目にしてしまうので、改めてその語源や歴史について疑問に思うことも少ないでしょう。

しかしよくよく考えてみるとランドセルを使用するのは日本だけなのに、なぜか名前はカタカナで『ランドセル』。

それにあの独特な形が一体どこからやってきたのか、ちょっと気になりませんか?

実は『ランドセル』という言葉はオランダ語から派生したもので、現在のランドセルの原型はかの有名な伊藤博文が生みの親だったんです。

ちょっと驚きですよね。

今回はランドセルの語源や歴史について、深堀りしていきたいと思います!

ランドセルの語源とは?オランダが由来!?

ランドセルという言葉はオランダ語の「ransel」という言葉が語源だと言われています。

「ransel」は『ランセル』もしくは『ランヌル』と読まれたそうですが、日本に入ってきてから言葉が訛って『ランドセル』と呼ばれるようになったようです。

では『ランセル』『ランヌル』とはいったいどんなものだったのか?

もともとはオランダの軍人さんが自分の荷物を収めるための背負いカバンで、布製のリュックサックのようなものでした。

江戸時代の末期(幕末)に幕府が日本にも洋式軍隊を取りいれようとした際に、この『ランセル』なる布カバンも一緒に導入したようです。

つまり最初のランドセルは、兵隊さんたちの荷物入れだったんですね。

ランドセルの形の意味とは?

ランドセルの形って独特だと思いませんか?

リュックサックの形態は世界中を見てもそれほど大きな差はないのに、あのランドセルの形は日本以外では見ることはありません。

では今のランドセルの形はいつ作られたのでしょう?

実はランドセルが日本に入ってきた当初は布製のリュックサックだったようで、明治になって本格的な軍隊が作られたころに革製のものが歩兵たちに与えられたようです。

ランドセルを最初に導入した学習院

軍隊で用いられてきたランドセルが通学用として使用され始めたのは1885年(明治18年)、学習院初等科が導入したことが始まりだと言われています。

当時の子どもたちは勉強道具を風呂敷に包んで持ち歩くのが一般的でしたが、富裕層の子どもたちは馬車や人力車を使って通学し、お付きの人が学用品を持つのが当たり前でした。

しかし学習院初等科は「教育上の平等」を理念のもと、「学用品は人に持たせず自分で持つべき」とし、さらにすべての生徒に馬車、人力車の使用を禁じたのです。

そこで歩いて通学する子どもたちのために、弁当や学用品を入れるカバンとして軍隊で使用していたランドセルが通学カバンとして導入されました。

現在のランドセルの形を作ったのは伊藤博文だった!?

学習院初等科で初めて導入されたランドセルですが、当初はまだ布製のリュックサックのようなものでした。

ランドセルの形に変化が起こったのはその2年後の1887年(明治20年)。

当時の皇太子様(のちの大正天皇)が学習院初等科にご入学する際、内閣総理大臣だった伊藤博文がお祝いに革製で箱型のランドセルを献上しました。

伊藤博文がどのようにしてその形を作らせたのかは不明ですが、「教科書やノートの形が崩れにくい」「後ろに転んでもクッションになる」というこの形に、伊藤博文の皇太子様に対する想いが感じられますね。

それから素材が『黒革』に決定され、サイズも縦一尺一寸、横一尺五分、マチ幅二寸五分に統一されたいわゆる『学習院型ランドセル』が完成します。

このランドセルこそが、現在のランドセルの原型だといわれています。

その後のランドセルの歴史は?

ランドセルが少しずつ世間に広まってきたものの、戦前の革製ランドセルはやはり高級品で、使用できるのは都市部の富裕層のみでした。

一般庶民や地方部では、やはり変わらず風呂敷に包むか、布製のカバンで通学するのが一般的だったようです。

ランドルが全国的に広がりはじめたのは、昭和30年以降の高度経済成長を迎えた時期です。

この頃になると学用品の量も格段に増え、ランドセルは子どもにとってなくてはならないものとして急激に普及していきました。

ただ当時はまだ牛皮製がほとんどで、大きさは現在のランドセルより二回りほど小さいのにも関わらず、重さは1.6kgほどあったようです。

その後人工皮革が開発され、昭和60年代ごろあたりから丈夫で軽いランドセルが流通するようになりました。

ランドセルが大人の間でも流行しはじめた!?

「ランドセルは小学生の子どもが背負うもの」というのが日本の常識でしたが、その軽さと丈夫さ、なにより特徴的なデザインが海外セレブの間で注目を集めます。

ハリウッド女優がピンクのランドセルを愛用している写真が世に出てから、たちまち若い女性たちのファッションアイテムとしてランドセルが流行し始めたのです。

その流れは日本にも広がり、現在では通勤や通学につかうための大人用ランドセルも多く販売されています。

オランダから海を越え日本に伝わってきたランドセルですが、歴史とともに形をかえ、今は日本独自の文化として世界中に広く知られるようになりました。